2017年3月29日水曜日

ゼミ旅行in山梨・静岡

 こんにちは。

 すっかり日が経ってしまいましたが、今回は先日のゼミ旅行について書いていきます。
 3月7日から3月9日にかけて、山梨県と静岡県に行って来ました。

1日目 3月7日(火)

 高速バス組は早朝に到着したので、韮崎市立民俗資料館に立ち寄りました。
 韮崎市内から出土した旧石器時代からの考古資料や、民俗資料が展示されていました。
 
 東花輪駅でメンバー全員と合流し、山梨県立考古博物館に向かいました。
 ここでは、学芸員の方に案内していただきながら、山梨県の考古学について学びました。
 黒曜石は、長野県や伊豆の神津島などから持ち込まれていたことを知りました。
 美術的にも注目されるような、つくりが素晴らしい縄文土器も多く展示されていました。また、ヘビやイノシシが装飾のモチーフとなっている土器が印象的でした。
 また、埋蔵文化財センターの整理室や収蔵庫も見学させていただきました。収蔵庫には何十万点と資料があり、いっぱいいっぱいの状況だそうです。棚には多くの遺物が並んでいました。

 その後、曽根丘陵公園も案内していただきました。
 山梨県における古墳文化の発祥地であるこの丘陵では、古墳や墳丘墓等が復元されています。甲斐銚子塚古墳や大丸山古墳、上の平方形周溝墓群などを見学しました。

方形周溝墓群が植込みで表現されています。

 その後、一部メンバーで舞鶴城に立ち寄りました。
 富士山が夕日に照らされて綺麗でした。

舞鶴城より

2日目 3月8日(水)

 2日目は朝から出発し、はじめに横根・桜井積石塚古墳群に行きました。
 積石塚を初めて見るメンバーばかりだったので、皆興味深く見学していました。
 周囲はブドウや梅などの果樹林になっていましたが、そこにも石がゴロゴロとあったのが印象的でした。梅がちょうど綺麗に咲いていました。

積石塚と梅

 次に、岡銚子塚古墳へと向かいました。
 標高の高いところにあってとても眺望が良く、八ヶ岳や南アルプスの山々を見ることができます。県内最大の方墳である竜塚古墳もここから見えました。
 墳丘には芝が植えられていましたが、本来は葺石のある古墳です。

甲府盆地を望む


 次は姥塚古墳です。
 姥塚古墳は、曹洞宗の寺院である南照院内に所在しています。石室内には観音堂があり、その手前には格子戸があります。
 普段は閉ざされている格子戸を住職にお願いして開けていただき、石室を奥まで見ました。
 石室は全国でも屈指の規模で、中に入るとその大きさに圧倒されました。

 その次に、山梨県立博物館に行きました。
 こちらでは展示室の中に通路が多くあり、時代の新旧に関わらず、「信仰」など一つのテーマに沿って展示を見ることができる「自由導線」が取り入れられています。
 また、展示交流員と呼ばれる方々が気さくに話しかけてくださり、解説などをしていただけます。
 展示には、新しい見せ方が豊富に取り入れられていました。縄文時代の展示で、天井からぶら下がっている装飾だと思った縄の先を耳に当てると、音や話し声が聞けて驚きました。
 展示や経営の取り組みなどを学芸員の方に教えていただき、勉強になりました。

 県立博物館の後には甲斐国分寺・甲斐国分尼寺跡を訪れました。
 金堂や講堂の礎石などを見ることができました。僧寺跡は思っていた以上に広かったです。

 次に釈迦堂遺跡博物館に行き、学芸員の方に案内していただきながら、常設展と企画展「峡東の土偶」を見ました。
 釈迦堂遺跡群から出土する土偶は、顔が幼いという特徴があるそうです。
 土器や石器の他に、焼成粘土塊が展示されていました。これには子供の指おさえの跡がみられ、大人が土器を作っている横でこどもも粘土で遊んでいる姿が想定できて、微笑ましく思いました。
 また、こちらでは5000点を超える国指定重要文化財を所蔵しています。
 収蔵庫などを見学させていただいて、特に土偶や石器などの小さな遺物の保存や管理について学ぶことができました。

釈迦堂遺跡博物館

 最後の春日居郷土館では、先程見学してきた国分寺跡関連の遺物を中心に展示を見ました。

 その後、山梨県にお別れし、静岡県へ移動しました。

3日目 3月9日(木)

 最終日は静岡県です。
 初めに静岡県埋蔵文化財センターを見学しました。
 こちらは元々高校だった場所をセンターとして活用しており、建物には校舎の雰囲気があって懐かしい気分になりました。
 遺物の保存処理に使う装置や整理作業の様子、展示室を見せていただきました。
 こちらで扱っている遺物は、洗浄とできれば注記までを現場で済ませてくるとお聞きして、研究室での整理の流れとの違いに驚きました。
 よく晴れていて、屋上からは富士山を見ることができました。

快晴の富士

 次に、静岡大学を訪れました。
 周辺の遺跡や大学構内の展示を案内していただいて、考古学研究室にお邪魔しました。
 研究室が調査した遺跡の遺物などを見せていただき、ちょうど発掘調査中の現場にも連れていっていただきました。
 他大学の研究室や現場を見て、また学生さんと交流して、とても良い刺激になりました。

 その後、登呂遺跡と隣接する静岡市立登呂博物館に行きました。
 博物館では、常設展示を学芸員の方に解説していただきました。
 登呂遺跡では建物跡が複数見つかっていますが、時期が同じものではそれほど多くないそうです。人の数の割に水田跡は広大で、米を作る役割をもったムラだったのかもしれないと聞き、興味深く思いました。
 また、出土した遺構や遺物に関連する体験が充実しています。
 貫頭衣を着て火起こしや建築技術、楽器などに触れられるほか、本物の水をひくことができる模型の水田まであったのが印象的です。小中学生が楽しそうに体験していました。

 最後に、賤機山古墳に行きました。
 浅間神社の中にあり、保存修復されています。扉を開けていただいて石室内を見学しました。
 石室は県内最大の規模で、玄室前寄りに複製された家形石棺があります。
 盗掘があったにも関わらず、石室内からは豊富な副葬品が出土したそうです。
 姥塚古墳に比べるとやや小さいですが、それでも迫力ある大きさでした。

墳丘前にて

 賤機山古墳の見学を終えた後は、駿府城公園を見て静岡駅から京都へ帰還しました。

 今回のゼミ旅行は、強風はあったものの3日間快晴で、遺跡や施設の他に景色もよく見えました。
 山梨県・静岡県にあまり行ったことがないメンバーが多く、富士山のある景色が新鮮で、この風景の中営まれた古の生活に思いを馳せることができました。

 現地では、諸施設の方々に大変お世話になり、自分たちだけでは得られないものを数多く手に入れることができたと思います。
 改めて御礼申し上げます。

 来年のゼミ旅行は私たちの代が中心となるので、それに向けても良い経験でした。
ふじなみ

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