こんばんは。
9月17日に開催された「甲立古墳シンポジウム」に参加するとともに、普段はあまり行けない岡山・広島県の遺跡見学をしてきました。
《16日》
前日に京都を出発し、まずは岡山県の古墳や資料館を巡りました。
はじめに月の輪古墳を訪れました。
月の輪古墳は大平山の尾根上に築かれている造り出し付きの円墳です。
古墳の周りに円筒埴輪が廻っていて、墳頂中央には石敷区画があり、その内側には、家形埴輪をはじめ形象埴輪が樹立していました。月の輪古墳は、きちんと整備されており、当時の古墳と周囲の風景が浮かんでくるようでした。
また、麓にある月の輪郷土館では、月の輪古墳から出土した立派な家形埴輪や甲冑形埴輪などが展示されており、とても勉強になりました。今度復元をする機会があると思うので、その時に役立てられるように覚えておきたいと思います。
月の輪古墳 |
月の輪古墳から望む飯岡 |
次に両宮山古墳・造山古墳群・作山古墳を訪れました。
両宮山古墳は、5世紀後半に造られた前方後円墳です。岡山県では3番目の規模を誇ります。この古墳は、葺石と埴輪が確認されていない特殊な古墳です。
両宮山古墳(前方部側から) |
作山古墳は、5世紀半ばに造られた前方後円墳です。岡山県では2番目の規模を誇ります。
作山古墳 |
造山古墳(前方部側から後円部を臨む) |
これまでさまざまな古墳を見てきましたが、それぞれその巨大さに圧倒されました。
私の住んでいる大阪府も古墳がたくさんある地域ではありますが、岡山や広島の古墳を見ることで比較することができる良い機会だったなと思いました。
最後に、古代吉備文化財センターを訪れました。
このセンターでは、高塚遺跡から出土した銅鐸の出土状況や波止場遺構を復元したジオラマなどを展示していました。また、縄文土器をはじめ各地の弥生土器を見られて、現在特に土器を勉強している私にとって貴重な展示でした。
《17日》
17日は午後からシンポジウム が行われるので午前中に、弥生墳丘墓の矢谷古墳(墳丘墓)・広島県立歴史民俗資料館・甲立古墳・安芸高田市歴史民俗博物館を巡りました。
広島県立歴史民俗資料館には、陣山墳丘墓から出土している弥生時代中期後半の「塩町式土器」や、向木見型の特殊器台が展示されていました。
初めて特殊器台を見て、その大きさに驚きました。特殊器台は吉備で作られたものですが、どのようにして遠く離れた広島の地に運んできたのかとても気になりました。
安芸高田市歴史民俗博物館では、特別に甲立古墳の埴輪を見せてもらいました。見せてもらった円筒埴輪は、器壁がとても薄く形が整っていました。また、朝顔形埴輪には突帯を均等に配置するための、突帯設定技法として突帯痕に方形の刺突が施されていました。
甲立古墳(後円部側から) |
シンポジウムに関しては、先生を含め第一線で活躍する先生方が甲立古墳について討論するものでした。
甲立古墳は、ここ10年前後で発見され、4世紀後半に造られた前方後円墳です。甲立古墳の埴輪は、畿内の工人が作ったものとされており、畿内と関わりがある古墳です。そのため甲立古墳の被葬者は、畿内が大陸と貿易するための陸路を確保するのをサポートした人物とされています。埋葬施設は、発掘調査をされていないため詳細はわかりませんが、石槨と判断されています。副葬品も不明です。副葬品が分かれば、甲立古墳の研究が一歩進むと思います。
また、甲立古墳の北側約50メートルほどに古墳と思われる高まりが確認されています。以後、このような古墳が発見されると思うと、ワクワクが止まりません。
この2日間で数々の遺跡を巡りましたが、写真や図録だけではなく、自分の目で見て立地環境を感じることで、その遺跡を理解することも大事だと思いました。
匠
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